中畑氏「一緒に頑張ろう」故郷・福島の被災者を激励

2011.03.31

プロ野球28会2011.03.31-1

ビッグパレットふくしまの救援物資の倉庫で手伝いをする子供たちと写真に収まる中畑氏と篠塚氏。 Photo By スポニチ

 福島県矢吹町出身で元巨人の中畑清氏(57=本紙評論家)が30日、東日本大震災の避難所となっている郡山市のビッグパレットふくしまなどを訪れた。衣類や消毒液などの支援物資を届け、同行した前巨人コーチの篠塚和典氏(53)とともに住民たちとがっちり握手。「絶好調は必ず来る。一緒に頑張ろう」と“キヨシ節”で呼びかけた。

 郡山市の災害対策本部が置かれている開成山球場に上下黒のトレーニングウエア、スニーカー姿の中畑氏の張りのある声が響き渡った。「世界中の人が注目しています。野球場が人を助けていて、野球人としてうれしい。ここから復興していきましょう。頑張ろう福島!」。安積商(現帝京安積高)時代にプレーした思い出の地で絶叫した。

 同球場は昨春、中畑氏らの呼びかけでリニューアル、室内練習場などが新設され、同氏のメモリアルコーナーも設けられている。だが今回の震災では、その室内練習場にブルーシートが敷かれ避難者を温かく迎え入れた。

 さらに選手用ロッカールーム、ネット裏の役員室なども避難所として使用されている。市の担当者は「今は約50人ですが、多い時は500人がここに避難していた。リニューアルされていなかったら対応できなかった」と語る。ネット裏、本来なら記者席で中畑氏に「頑張っぺ」と手を握られた大槻町の佐々木昌子さん(78)は「励まされてうれしい」と目は真っ赤だった。

 「1人でも多くの人を元気にしたい」と中畑氏は精力的に動いた。開成山球場に続き、郡山市の住民約60人が避難しているニコニコこども館、富岡町、川内村の住民を中心に約2000人が避難しているビッグパレットふくしまを訪れた。1階から3階まで汗まみれになりながら各部屋、廊下で生活している住民たちの手を一人一人握り、呼びかけも次第にヒートアップ。「絶対に地元に帰れる。心を1つにして頑張ろう。イエイ」「みんなで頑張っていこう、エイエイオー」、最後には「私のキャッチフレーズ、絶好調は必ず来る。一緒に頑張ろう」と声を張り上げた。

 ノートにサインをもらった富岡町の渡辺和良子さん(46)は「勇気が出た。何も持たずに逃げてきたけど、昨日ノートを買ってよかった」と涙ぐんだ。川内村の鈴木和也さん(28)は、11カ月の長女・莉奈ちゃんを抱いてもらい「娘は幸せです。こんな時に来てくれて…心強い」と声を震わせた。

 熱いハートで支援活動を続ける中畑氏。27日は東京・味の素スタジアム、28日には埼玉・さいたまスーパーアリーナの避難所を訪問。29日は実兄・栄三さん(62)が経営する矢吹町の中畑畜産の牛舎で廃棄される原乳を目の当たりにした後、母校・矢吹中の避難所を訪れた。「まだまだ時間がかかるかもしれないけど、福島は必ず復活する。強い気持ちが奇跡を起こす。頑張ります」。“絶好調男”は今後も、福島の復興へ向けて走り続ける決意だ。

3月31日 スポニチより